協賛
これから活動を始める人に、過去の自分へ助言するとしたら何を伝えるか。協賛サポーターの小川貴之さんの答えは、潔いものでした。
「当たって砕けろですよね。実際に行ってみないと、協力してくれるかどうかは分からない。協力者がゼロじゃないわけですから」
たとえば大手企業のように「見栄えにこだわるから、まず無理だろうな」と思える相手でも、行ってみないことには分からない。
「コンビニも、いわば一部上場企業のフランチャイズです。同じ感覚で『無理だろうな』と思いつつ行ってみたら、意外とオーナー判断で協力してくれることが多かった。だから、話を通さないよりは、通したほうがいいんです」
当たって砕けろと同時に、小川さんが戒めているのが「思い込み」です。
ある会社で、活動を支えてくれていた先代から、二十代の二代目へ世代交代がありました。
「若い人に代わったから、もう同じようにはやってくれないんじゃないか。継続は難しいだろうと思って交渉に行ったんです。そうしたら、先代がやっていた通りの金額で継承してくれた」
人が変わったからダメだ、と決めつけない。
「『人が変わったからダメなんだ』ではなくて、新しい会社と交渉するのと同じ感覚で、ちゃんと一から思いを伝える。最初に協力してくれたのも、思いを伝えたからなんです。その初心は持ち続けたほうがいい」
それでも、断られることはあります。そのときの引き際に、小川さんの工夫がありました。
「ポスターを強く断られることもあります。でも、その人が挨拶をしてくれなくなったかというと、そうじゃない。だから、次のチャンスを探るために、その場は事情があるからと引き下がるんです」
大事なのは、その場で問い詰めないこと。
「『どうしてダメなんですか』とその場で詰めると、向こうも構えてしまう。普通に挨拶して、今までと同じように接してくれたなら、そこから少しずつ掘り下げる。結果をすぐ求めないスタンスでいたほうが、次につながりやすいですね」
数を重ねれば、毎回快く引き受けてくれる人ばかりではなくなります。それでも小川さんは、悲観しません。
「過去に協力してくれた人が協力してくれなくなっても、また気持ちが戻るチャンスを探りつつ、新しいところにも目を向ける。そのほうが、会話を継続しやすいんです」
イメージが下がったり、信用が落ちたりして避けられることもある。けれど——
「それは回復できると信じることだと思うんです。自分たちも気分が落ちて、人の協力がうっとうしくなる時があるのと同じで、相手も一時の気分が落ちているだけ。またやっている姿を見せることで、回復できると自分を信じる」
ボランティアも、スポンサーも、一度は離れても戻ってくる人がいる。だから、明るい未来を作るという思いを持ち続ける。
「楽しかったり、明るい未来が作れると見えてくれば、協力せざるを得ないじゃないですか。協力者がゼロではないんだから」
まだ自信を持てなかった頃、何が小川さんを支えていたのか。その根っこには、神社という存在がありました。
「御宮って、帰ってくる場所なんです。一時、気が離れることがあっても、最終的には我々は神仏に帰る。分け御霊といって、一人ひとりに神が宿っているという考え方もあるように、戻る場所には戻ってくる。そこに火を灯しているということは、必ず帰ってくるということなんです」
人も、気持ちも、いつか戻る場所がある。だからこそ、いま灯し続ける——その確信が、続ける力になっています。
断られても、離れられても、また灯す。その繰り返しが、地域に根づく活動を育てます。
「神社に火を灯せ」では、協賛サポーター・小川貴之が、交渉での心構えから長く続けるための工夫まで、現場目線でご相談に乗ります。